2019年8月27日でめでたく新生してから6周年目を
迎えるファイナルファンタジー14。(以下FF14)
FF14にとって『新生』という言葉は、とても深い意味があります。
あえて悪い言葉を使いますが、かつては「クソゲー」と呼ばれていた旧FF14。
そこから現在に至るまでにFF14は茨の道を歩んできました。
クソゲーと呼ばれていた『旧FF14』通称:根性版。
旧FF14がサービスを開始したのは2010年9月30日です。
現在のFF14と区別するために、旧FF14は通称「根性版」と呼ばれています。
FF11に次ぐ「FFシリーズのオンラインゲーム」ということで、
当時のFF14は世界的に期待の大きい作品でした。
プラットフォームはPCとPS3の2種。
PC版を先行公開し、追ってPS3版の発売を予定とのことでした。
高スペックPC推奨の美しいグラフィック、画期的なジョブシステム…。
あのFF11を超える国産MMORPG爆誕!のはずでしたが…。
フタを開けてみたらあらビックリ!!
オープンβテストの時点で、インターフェースの使いにくさや、
当時約50万円近くの高スペックPCを要求するにも関わらず動作のもっさり感…。
まったく爽快感のないグダグダなバトルシステム、
どこまでも続く同じ景色のコピー&ペーストのマップ…。
テストユーザーが不具合報告をできない不具合、さらには
正式サービス開始後も不具合は修正されておらず「お金を払ってやるβテスト」と揶揄され…。
旧FF14はオンラインゲームとしても…、ましてや
「ゲーム」としても成立していない散々なものでした。
その斬新なゲーム性も相まって、ピークの時間帯でも
全世界同時接続数が3万人を切るなど不人気ぶりを発揮。
当時の旧FF14には「どれくらいのユーザーが接続しているのか」
というのを表示しており、プレイヤー自身の目で接続数を確認できたのですが…。
ある日突然、その接続数の表示が消されてしまい、
いかに当時の接続数がやばかったのかというのが分かる逸話があります。
血迷ったプレイヤーが「私はFF14を続けるよ」運動なる
狂気の沙汰を生み出したほどです。
結局、旧FF14は日本だけでなく海外からも
『グラフィック以外は全部ダメ』『最も期待はずれなゲーム』と…。
いわゆる「クソゲー」のレッテルを貼られました。
前スクウェア・エニックス社長:和田洋一氏による異例の謝罪文
2010年12月10日、サービスを開始してから約2ヶ月後。
FF14の公式ポータルサイトに、当時のスクウェア・エニックス社長
和田洋一氏の異例の謝罪文が掲載されました。
- FF14が期待している水準に達していないことへの謝罪
- 開発体制を一新し、最高品質のゲームを作ることの発表
- 新たにプロデューサー兼ディレクターに吉田直樹氏を指名したこと
- PS3版の発売を延期すること、一刻も早く改善を加えてより良いゲームにすることの決意
…などが書かれていました。
プロデューサー兼ディレクターに吉田直樹氏を指名、
ここからFF14は大きく方針を転換します。
”1から全て作り直す”前代未聞の壮大な『新生計画』
FF14の開発を引き継いだプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏は…。
表では現行のFF14を修正しつつ、裏で新たにFF14を「1から全て作り直す」
という前例のない壮大で無茶な開発計画を行いました。
今でこそ有名人ですが吉田直樹氏は、当時は「え?誰?知らないなぁ」
というレベルの全く無名のゲームクリエイターでした。
ですが様々なオンラインゲーム界を渡り歩き、知識や経験は…もはや伝説級。
その手の界隈なら知らない人は居ないと言われるほどのMMOヘビーユーザー…。
FF14にかける情熱とゲームに対する愛情は並々ならぬものでした。
吉田直樹氏はある時、ゲームキャラクターの姿を借りてこんな事を語ります。
しかも、僕たち自身が撒いてしまったものだった。
世界を一度破壊して再創造するという、
途方もない計画を立てたんだ……。
吉田直樹氏は長年培ってきた知識と、FF14プレイヤーからのフィードバックを活かし…。
FF14の世界観を維持しつつマップ、BGM、ストーリーはもちろん、
不評だった戦闘システム、グラフィックなどありとあらゆる要素を一新。
まるで別のゲームになった言っても過言ではないほどにFF14は生まれ変わりました。
新生FF14の完成を控えた2012年11月11日、FF14が発売されて約2年が経ったこの日…。
FF14公式サイトにて、こんなムービーが公開されました。
タイトルは「時代の終焉」。
ファイナルファンタジーXIV:”時代の終焉”トレーラー
このトレーラーは旧FF14を最後まで遊んでくれたユーザーへの感謝の意味と…。
旧FF14のストーリーを完結させるムービーとなっています。
このムービーは現在「新生エオルゼア」のOPとしても使われていますね。
月の衛生から降臨したバハムートが、旧FF14のすべてを焼きつくし…。
ひとりの賢者が最後の力を使い、冒険者(プレイヤー)を新しい世界へと送り出す…。
文字通り旧FF14の「終焉」を表しています。
2012年12月31日、旧FF14はサービスを終了し、ひとつの時代が幕を閉じました。
新たに生まれ変わったFF14『新生エオルゼア』
2013年8月27日、かつてクソゲーと呼ばれたFF14は
『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』へと生まれ変わりました。
βテストの時点で「これは本当にあのFF14なのか?」「冗談抜きでめっちゃ面白い!」
とTwitterなどのSNSやゲーム雑誌などで徐々に話題となり…。
サービス開始直後から数多くの新規プレイヤーが殺到し、
サーバーがパンクしてログインしたくてもできないという事態になりました。
この頃のことは私もよく覚えています。
何としてもサーバーに入ろうと、連日のようにログイン戦争が勃発。
ゲームを起動したらログインボタンを連打して、
何十万人というユーザーとログイン権をかけて争っていました。
MMORPGの同時接続数の日本記録を塗り替えるほどの勢いでした。
FF14は世界から愛されるゲームへと生まれ変わりしました。
しかし、ログイン問題を皮切りに障害や問題が次々と発生しました。
それでも、新生FF14は立ち止まることなく、少しずつ改良・修正を繰り返し、
より良いゲームへと進化・発展し続けました。
そして生まれ変わった「新生エオルゼア」は「蒼天のイシュガルド」へと舞台を移し、
2015年年8月末には全世界プレイヤー登録数が500万人を突破しました。
2017年6月には新しく「紅蓮のリベレーター」という大型アップデートを実施。
そして2019年7月には「漆黒のヴィランズ」が公開され…。
今もなおプレイヤー登録数は増えて続けています。
新生エオルゼアのエンディングが長い理由
新生エオルゼアのエンディングはとても長い事で有名です。
「最も長いエンディングクレジットを持つMMOビデオゲーム」
としてギネス世界記録にも登録されています。
その時間はなんと…約1時間40分。映画1本ですね。
思わずムービースキップして飛ばしてしまった人も少なくはないでしょう…。
なぜこんなにもエンディングが長いのかというと、ちゃんと理由があります。
それは…かつてのクソゲー時代からFF14をプレイし、
最後まで旧FF14を支えてくれた「プレイヤーの名前」が
スタッフロールにひとりひとりと刻まれているからです。
そのためにエンディングがとても長くなっているのです。
彼らが歯を食いしばって最後の瞬間までFF14を諦めなかったから、
今のFF14があり、今の私達がFF14を楽しめるのです。
決して意味もなく長いわけではないのですよ!!
ぜひ、エンディングは飛ばさずに最後まで見てほしいのです…。私も見たんだからサ…。
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FF14にとって『新生』という言葉は、ただ単に生まれ変わると言う意味だけでなく…。
「諦めずに挑戦する」という意味も含まれているのです。
クソゲーのレッテルを貼られ、ユーザーも目に見えて減り続け、
サービスが終了するのは時間の問題だった…。
FF14をクソゲーとして終わらせるのはきっと簡単だったでしょう。
それでもFF14を作り直すという決意をしたのは…。
FF14を最後までプレイしたユーザー、そして吉田直樹氏らFF14開発スタッフが
「新しいFF14の世界」を強く望んだからでしょう。
1から作り直すなんて無理だと笑われても、そんなことをしても無駄だとけなされても…。
望みを叶えるために最後まで挑戦し続けた結果が「新生エオルゼア」なのです。
君と僕たちがともに歩んできた、歴史と未来であると。
「マイナスイメージ」という物は中々消えないものです。
FF14はクソゲーというレッテルはいつまでも残るでしょう。
いまだにFF14なんてクソゲーだ!なんて蚊帳の外で騒いでる
かわいそうな人は放っておけばいいんです…!
私はFF14を心の底からから楽しいと思うし、胸を張って大好きなゲームだと言えます。
きっと私と同じようにFF14を心から楽しんでいるユーザーと、
そんな気持ちを大切にしてくれるFF14スタッフの挑戦が続く限り…。
FF14の世界は広がり、何度でも生まれ変わります。
旧FF14の話をもっと知りたい!
「もっと旧FF14の事を深く知りたい!」という方は、
吉田直樹氏自らが旧FF14時代を振り返るコラムが発売しています。
「そもそも旧FF14の開発態勢がどんなのだったのか」とか
「世界を壊すのに隕石を選んだ理由」など赤裸々につづられています。
FF14の話以外にもMMO(オンラインゲーム)とは?や
吉田直樹氏が経験したMMOのエピソードなどを面白おかしく語っています。
オンラインゲームに限らずゲームが大好きだ、
現役のゲームスタッフはどんな事を考えてゲームを作っているのか?
など、興味の有る方にとっては、かなりためになるし
当然ながら読み物としても普通に面白いのでおすすめですよ!